最後の晩餐
この作品完成までの経緯は、あまり知られていない!
レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作であるキリストと12使徒を描いた作品。
ダ・ビンチはこの制作にかかる中で、初めにキリストのモデルを探しまわりました。
とある教会で歌手をしていた青年を見つけて、直感的に感じて彼をキリストとして描きあげました。
そのあと残る12使徒のモデルも探し当て、殆ど描きあげたのですが、最後のユダだけが描けずに長い年月が過ぎていきました。
或る日、場末の街角に座っている物乞いの中に、邪悪そのものの魂浮き出た者を発見し、僅かの金銭と食事を与えてユダを描きあげたのです。
よく見るとそのユダのモデルは、最初にこの『最後の晩餐』を描き始めたときのあの青年の成れの果ての姿だったのです。
その衝撃的な現実を理解したときにダ・ビンチは驚愕しました。
教会で会ったあの清廉とした人物と、目の前にいる邪悪で俗悪な人物が同一な者であったことを。
奇しくもキリストとユダのモデルが同一人物であったことは、単なる偶然なのか?
ダ・ビンチは悩みました。
霊感的天才のダ・ビンチにして、それが見抜けなかったこと!
更にはこれほどまでに変わってしまったモデルの変色を!
魂の奥底まで見抜ける慧眼を持ったダ・ビンチに、このような場面が訪れたということに、何か深い意味を感じさせられたことは想像にかたくない。
この偉大なる作品はダ・ビンチ個人の意志で描き上げたものではなく、その後ろにある偉大な崇高な存在(意志)があって初めて完成できた、『神霊的絵画』作品なのです。