創造の視座
私の修行していた筑波山の道場に、当時日本に亡命していた胡蘭成
こらんせい氏が住まわれていました。
また胡氏は数学者の岡潔先生と面識があり、よく道場で議論を交わしていたと道場の先生よりお聞きしています。
【巻頭言】
人には情緒が大切です。春になれば梅の花が咲くように、心と心のつながりが必要なんです。自他対立しない心と心のつながりが情なんです。自然と心とのつながりもやはり情なんです。
1人1人が個々別々で、天涯孤独であるのは寂しいことだと思います。悲しいことです。人の心の底が冷えきっているんですね。これが現代です。
それを暖めて溶かさねばならない。小我をすてた、真我の世界が「情の世界」なんです。われわれはその世界の中で創造し、まず人が人であるように、日本人の創造の道を求めていかなくてはならないのだと思うのです。
…岡潔講演録…